実用的！管用テーパねじ(Rc用)設計ガイド【規格・加工・図示】

管用テーパねじは、JIS規格として定められていますが、実際に使う設計ポイントがまとまったものがないため、情報を探す手間が掛かりますよね。

そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使う項目に抜粋して、管用テーパねじ（Rc用）としてまとめました。

設計の参考として活用いただければ幸いです。

本記載内容は、JISやメーカサイト、経験則からまとめたものであり、実際の設計現場と一致するものではありませんので、ご自身の判断で活用ください。

管用テーパねじは、気密性を目的にしたい箇所に使用され、工業製品から生活用品まで幅広く使われているねじ規格です。そんな管用テーパねじの規格の中で、機械設計でよく使われる内容を以下よりまとめます。

管用テーパねじは、JIS B0203-1999にて定められています。その内容は、以下のリンクから確認することができます。

前述のJIS規格から、機械設計でよく使うめねじ項目があります。抜粋すると、次のようになります。

管用テーパねじを加工する場合は、手動で加工したり機械を使って加工します。それに合わせて使う工具があり、それぞれの特徴があります。

その中で、機械設計でよく使う加工ポイントとして以下にまとめます。

よく使われる管用テーパねじの加工方法は、次の2種類があります。

ℓgの基準位置まで入れ込んで加工。青矢印が軸方向。赤矢印が工具回転方向。

引用元：株式会社彌満和製作所カタログ：管用テーパねじRcタップ

工具が回転と公転しながらℓ長さで加工。2軸以上の複雑な動きとなるため、NC制御できる機械が必要。青矢印が公転方向。赤矢印が工具回転方向。

※引用元：株式会社彌満和製作所カタログ：超硬MC-ヘリカルカッタ 管用テーパねじ(Rc・PT)用

管用テーパねじRcを取り入れる時の設計ポイントを以下にまとめます。

　・必ず、1-2．設計でよく使う項目に記載のa寸法を厳守する　・止まりの場合は、2-1．加工方法に記載のストレート加工のℓg長さを確保する　・深さを最小限に抑えたい場合は、2-1．加工方法に記載のヘリカル加工を利用する

　・端面との距離は、おねじ挿入で壊れない肉厚にする　・端面との肉厚は、谷径(D)で見積もる

管用テーパねじを加工してもらうためには、図面指示する必要があります。機械設計でよく使う製図事例を以下にまとめます。

代表的な図示例は次のようになります。

基本的にねじ深さはJISで定めされているため、記載は不要ですが、どうしても必要最低限の長さにしたいなどは、指示する場合があります。下穴止まりの場合は、深さを指示します。

下穴径を表示する場合は、以下の下穴径を参考にしましょう。

引用元：オーエスジー株式会社 技術情報 下穴径一覧表

テーパ角度は、JISによって定められています。その関係は、下図となっています。

テーパをどうしても作図する必要になった場合は、この関係から、テーパ角度（θ）を算出して作図します。ちなみに、角度は凡そ1.7899°になります。

ここまで、実用的に使える管用テーパねじ(Rc用)を設計ガイドとしてまとめました。本内容から、皆様の設計作業にお役に立てたら光栄です。

ここまでご覧いただきありがとうございました。